【開発情報】USB接続プリントサーバの開発(1)


こんにちは、システム・アローポーション株式会社の矢部です。

現在、USB接続プリントサーバの開発に着手しております。

事の発端は、お客様からネットワークセキュリティー対策の一環として、現在、インターネットに繋がるネットワークとインターネットには繋がらないネットワーク(ローカルネットワーク)を論理的に分けて運用しているのですが、物理的に完全分離できないかというご相談を頂きました。

そこで問題となったのは「ネットワークプリンタ(複合機)」の扱いです。現在ネットワークは論理的に分離(VLAN)されており、ネットワークプリンタは双方のネットワークから利用することができようになっています。今後、ネットワークを物理的に分離することによりネットワークプリンタの共有利用ができなくなります。パソコン端末についてはLAN配線であったり、業務上、双方のネットワークが必要になるユーザーはCPU切替機を導入することで、対応ができますが、「ネットワークプリンタ(複合機)」は置き場所も取りますし、各部署でのランニング費用、インクなどの消耗品の管理も発生するため、今ある資源を有効利用しつつ、安心、安全、安価に実現することが課題になりました。

お客様の使用するネットワークプリンタはFuji Xerox社製のネットワークプリンタで、ネットワークポート、USBポートがそれぞれ1つずつ標準装備されています。Fuji Xerox社に確認したところ、拡張用のネットワークボードを追加することでネットワーク2系統からの印刷が可能になるというお話を頂きました。ただし、デメリットとして、万一インターネット系統のネットワークから悪意のある攻撃があった場合、ネットワークプリンタ本体に保存されているデータが見えてしまう可能性があるため、気にしておく必要があるいうお話を頂きました。(ネットワークプリンタ本体の問題ではなく、インターネット系統のファイヤーウォールを通過されてしまった場合を想定)
もう一つの方法として、ネットワークプリンタのUSBポートにプリントサーバを接続することは可能であるかを伺ったところ、そのように運用されている事案もあるとのことでした。そのことから、弊社ではセキュリティーレベルを確実に確保できるUSB接続プリントサーバを介する方法を選択しました。課題であった安心、安全、安価もクリアできるという判断に至りました。

 

USB接続プリントサーバ導入で調査を開始したところ、量販店や通販サイト、取引頂いている商社に確認しても、ほとんどの国内メーカーが生産を終息しており、世の中に在庫が全く無く、また入荷の見込み、目途がたっていないという状況でした。とある製造元に確認したところ、増産はしているが引き合いが多く市場に出回りにくいという説明を頂きました。

なぜ、そのような市場になっているのかというのは想像がつくかもしれませんが、一昔前と違って、今では家庭向けプリンタの廉価モデルでもネットワーク機能で無線LAN、有線LANを標準で備えている商品がほとんどなので、メーカーも売れないという理由で生産終息したのだと思われます。(あくまでも勝手な予想です。)

そこで、いつ入手できるか判らない商品が販売されるのを待つことや入手のために奮闘するよりは、今後も需要があると考え、マイコン(マイクロコンピューター)、要は小さいコンピュータを利用してUSB接続プリントサーバを開発してしまおうと考えました。

 

(USBやLANの大きさから見ると全体の小ささがよくわかりますね。名刺を一回り大きくした感じです。)

今のマイコンは本当に小さいのに万能で驚くことばかりです。サイズも市販のUSB接続プリントサーバと対して変わらないので、 お客様の使用するネットワークプリンタへの設置もまず問題ないでしょう。開発しているマイコンはLinuxOSで動くのですが、Linux用のプリンタドライバなら大手プリンタメーカーならほとんど提供されていることもあり、これから開発、実験を開始しようと考えております。

また、余談ですが、マイコンにはWi-Fiやモバイル回線(SIMスロット)、センサー入力、USB、HDMI、3.5mmオーディオジャック、MicroSDカードなどがタイプ別に色々備わっておりますので、今後は遠隔の保守機器であったり、観測機器などの様々な分野で活躍の可能性を秘めております。弊社では今後、マイコン開発、フル活用にも注力して参りますので、ご期待くださいませ。

 

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